CP,all

□こんな日もあるさ
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今日から学校へ出入りすることが可能になる為、部活動も再開される。
勿論、野球部も練習が朝からある。
正月に鈍った体を動かす訳だから、ミスも決して少なくないわけで・・・





「難しいとこ打ってないよ!はい次!」



簡単なゴロでさえ捕れない奴もいた。
とはいえ、監督は元気すぎやしないか、と部員全員が思っていたとか。









「水谷は悲惨だったよなー、誕生日なのに」

「・・・あのさ泉、俺のこと苛めて楽しい?」

「つまんなかったらしねぇって!」




満面の笑みでそう言った泉を見て、水谷はショックを受けていた。
今日、最もミスが多かったのは水谷だった。
以前田島にレギュラーとられるぞ、と言われて凹んでいたが、今回はその時以上に凹んでいるようだ。



「泉、それくらいにしてやれよ?」



ハァ、と溜め息をついて花井は泉の肩に手を置いた。
花井の思いが伝わったのか、泉はそれ以降水谷のことには一切触れなかった。





まだ冬至が過ぎてあまり日も経っていないせいか外が暗くなるのは早くて、
練習を終えた生徒が学校を出る頃には、もうすっかり日が暮れていた。
残って部誌を書いている水谷を待ちながら、鍵当番である栄口は携帯で音楽を聴いていた。





「ごめん、待たせて・・・って何聴いてんの?」



部誌を書き終えた水谷はそう言って栄口に近づいた。




「去年水谷におすすめされたやつだよ」

「あぁ、スープのCMの」

「そうそう。プロモも見たけどめっちゃ良かった」




イヤフォンを外して、栄口は帰る支度を始めたので水谷も慌てて支度を始めた。
夏よりも少し早くなった帰る時間。だけど帰りにすることは殆ど変わらない。
今日はもう皆先に帰ってしまった為、水谷と栄口は2人でコンビニへ向かう。




「人少ねぇー・・・」

「そうだな。あ、水谷」

「何?」

「誕生日、だろ?何か奢ってやるよ」




栄口にそう言われると、すぐに目の前にあった生クリーム入りのシュークリームを手に取った。
そしてそれをお願いします、と言いながら渡すと、栄口はレジに行ってしまった。




「ありがとう、栄口」

「プレゼントは別の日にな」



誕生日おめでとう、水谷。
栄口が水谷の左頬に一瞬口付けると、された本人は黙ったまま栄口を見つめていた。





こんな日もあるさ

(祝ってくれるだけでも十分嬉しい)







*あとがき*
―――――――
誕生日おめでとう、文貴!今回は水栄以外にも少しだけど登場させてみました。
・・・意味はないですけど。ほんのり甘い感じにしあがってればいいのですが。
作中で栄口が聴いていた曲が分かった貴方!是非ともお友達になって下(ぁ
文貴ならエラーしかねないなーとか・・・思ってごめんなー、誕生日なのに;
→09.01.04

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