CP,all

□プラマイゼロ
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降水確率0%というのは嘘だったのだろうか。
早朝見たあるニュース番組の天気予報ではそう言っていたのに。
午後から突然振り出した雨。しかも風が強くて雨の量も多い。
窓から外の景色を眺めて、栄口は溜息をついた。
いつも持ち歩いている折り畳み傘があるかと思って鞄の中を探すが・・・
見つける前に今の状況で折り畳み傘をさしたら1分ももたずに折れてしまうということに気づき、傘をさして帰ることを諦めたのだった。




放課後、少しはマシになっているのかと思っていた雨は、相変わらず沢山降っていた。
部活も中止になって、もうやることは無くなったから帰ったら即行風呂入るか、などと考えながら昇降口を出ようとすると、とんとんと誰かに肩を叩かれた。
無視するわけにはいかないので、栄口は振り向いた。





「どうしたの?」

「水・・・谷」

「もしかして傘が無いとか」



ずばり言い当てられてしまい、栄口はその場で固まった。




「あのさ、良かったらこれ」

「え?」



水谷が栄口に差し出したのは紺色の傘。ありがたいけれど水谷はどうするんだ、と首をかしげると、
水谷はへらっとしまりのない顔をして反対の手に持っているものを栄口に見せた。




「学校に1本置いたままでさ。別の日に持って帰ろうかと思ってたんだけど、栄口が困ってたみたいだから」




そんな栄口見つけて1回教室戻ったんだ。水谷は笑って傘を栄口に持たせた。




「貸す代わり、とか言って良いのか分からないけど・・・途中まで一緒に帰ってくれる?」

「そんなの代わりでも何でもないだろーが。・・・ありがとう、水谷」




この雨の中傘をささずに走って帰っている生徒も意外といた。
傘をさしていても、結局腰から下は結構濡れてしまったのだが。
帰ったらすぐ風呂場に行かなくてはならないことにかわりはないな、と思いながら栄口は水谷と他愛のない会話をしながら駅に向かった。





プラマイゼロ

(でも若干プラスかもしれない)







*あとがき*
―――――――
久しぶりに携帯に書き込んであったテーマからお話を書いてみました。えぇ、傘です。
相合傘じゃありがちだな、と思って少しひねってみたのですが…こちらもありがちですかね?
誰かしら前に持ってきたまま傘を学校においていってしまう人いますよね^^文貴はそれです(笑
ほのぼの目指しました。微妙なのはいつものことです←
→09.03.15

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