鋼/錬

□おっかけっこ
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落としたペンを拾おうとしゃがんだ時だった。
机の下で何かが動いている。
見覚えのある“何か”が・・・

「ハヤテ号?」

リザがそう呼ぶと、机の下にいるハヤテ号がワンと吠えた。

「どうしてこんなところに・・・」

ペンを拾った後、ハヤテ号を抱きかかえた。
外で走り回っていたのか、体に土が付いていた。

「帰ったら洗わないと」

はらえる汚れだけはらおうと、ハヤテ号の頭に手を置いた。
いつもなら尻尾を振って喜ぶくらい撫でられるのが好きなのに、
何故だか今はもの凄く嫌がっている。


扉が開いた直後にその理由を知ることになる。


「大佐?!」

ロイの頭には枯れ葉が何枚かのっていて、軍服が少し汚れていた。

「何かあっ」

「見つけたぞ、ハヤテ号」

「え?」

リザに抱きかかえられていた筈のハヤテ号が、いつの間にか部屋の隅にいた。

「こんなところに隠れていたのかー」

「あの、大佐?」

「捕まえた」

捕まえるまでどんなに大変な思いをしたのかは知らないが、
ロイは凄く嬉しそうだった。

「・・・いい加減、私の話を聞いてくれませんか?」

普段のリザからは絶対に出ることのないどすの利いた声が部屋中に響いた。

「ご、ごめんなさ・・・あまりの嬉しさについ」

「大佐まで汚れてますけど?」

「気がつかなかった。あぁ、何があったかだったな」

頭にのっている枯葉をはらいながら喋り始めた。

「何となくわかるとは思うが、その・・・」

「ハヤテ号と遊んでたんですね」

「これを盗られてな」

「あっ・・・!!」

ロイが盗られたものに見覚えがったリザは、思わず声を漏らした。
銀色のリングが、ロイの手のひらで光っていた。

「それ、もっていてく・・・」

「君から貰ったものだからなってこらお前」

リングを見つけたハヤテ号がロイの腕の中で暴れだした。
どうやらそれが気に入っていたらしい。

「悪いが、これはあげられない・・・」

困ったロイはリングを軍服のポケットにしまい、ハヤテ号の頭を撫でた。
すると、いつものように尻尾を振って嬉しそうに吠えた。

「諦め早くないか・・・」

「いいんじゃないですか?」

「君も結構適当だよね」

「あら、そうですか?」

「・・・着替えてくる」

ポケットにしまったリングが歩くたびに上下に動いた。
だが不思議なことに落ちることはなかった。
それでも片手をポケットの中に突っ込んでリングを掴んだ。


今度は盗られないように・・・・・・







*あとがき*
―――――――
学年末テストの前に書いたものが出来たのでUPしてみました。
今までの中ではほんの少し甘くなっているのではないかと思います。
普通に甘いより、こうほんのり甘い方が好きなんですよ。
リザさんは基本ボケだと信じてます(ぇ)上手く話がまとまりませんでした。
次はもーちょっと甘いのが書けたらいいなーと思ってたり思ってなかったり(どっちだよ

→08.04.26

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