鋼/錬
□これからだって、
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一年が終わる日。軍人である彼らが休みな訳も無く。
ロイとその部下のリザは、すっかり暗くなってから司令部をあとにした。
もう日付が変わろうとしている時間には、2人の他に外に出ている者はいなかった。
会話はなく、聞こえるのは足音だけ。
静かすぎるこの場所では、嫌なくらいに音が響く。
けど、やはりどちらも口を開こうとはしない。
もうすぐ別れ道に着く、というところで漸くリザが口を開いた。
「今年一年、お世話になりました」
「なんだ、急に改まって」
「あと数分で今年が終わるので」
ロイは自分の持っている時計を取り出して時間を確認する。
時刻は午後11時59分。確かにリザの言うとおりだった。
しかし、何故リザは時計を持っていないのに現在の時刻が分かったのか、と考えながらふと見上げるとそこには大きな時計があった。
「そうみたいだな」
「来年もよろしくお願いします」
「あぁ。くれぐれも約束は破らないようにな?」
「・・・はい」
カチッ、とロイが持っている時計の針が動き午前0時ちょうどになった。
たった今年が明けたのだ。
時計をしまい、ロイは無防備なリザの唇に自分のそれをゆっくり重ねた。
「あけましておめでとう、中尉」
「大佐・・・」
「今年も宜しくな」
「こちらこそ」
そうしてまた沈黙が続いた。
そうこうしているうちに、とうとう別れ道まで来てしまった。
ではお休みなさい、と言って歩き出したリザの腕をロイは掴んだ。
「あの、大佐」
「すまない、体が勝手に」
「構いませんよ」
「ちゅ・・・っ?」
不意に唇を重ねられて、ロイは目を閉じることが出来なかった。
「明日、会えますから」
「そう、だな」
今度こそ2人は、別れた2つの道それぞれに向かって歩きだした。
また明日もその先も、ずっとこうしていられますように。
*あとがき*
―――――――
半年以上ぶりの更新です。久しぶりです、ロイアイは。
ほのぼのよりは少し甘めになっていれば満足です(ぇ)
最近夢小説書いてるせいか、だいぶ不自然な2人になってしまいました・・・
不意打ち好きすぎる!!(ぉぃ)これくらいの甘さが私は1番好きなんです。
来年はアニメもやることですし、もっと更新出来るように頑張ります!
→08.12.31