鋼/錬

□スーパー軍部物語第1話
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朝礼前のこの時間、休憩している者などいない。
開店前にしなくてはならないことが沢山あるからだ。
その準備は、朝礼前にだいたい済ませておくのは当たり前。
今日も従業員たちは各持ち場で作業していた。


9時30分、朝礼開始の時刻。その3分前には売り場の広いスペースに従業員が並んで立つ。
そしてやや遅れて店長であるブラッドレイがやってくる。



「おはよう諸君。本日も頑張ってくれたまえ」


ブラッドレイの話の後、簡単に体を動かし声だしをして朝礼は終了である。
開店時刻の10時まで10分をきった時、外から何か破裂した音が聞こえた。



「っと、何だ今の音は」

「マスタングさん、行ってみましょう!!」


野菜売り場にいたファルマンがロイに声をかけ、2人で店の外に出た。


「風船…石灰入り、か」

「ついにうちにも来ましたか」

「どういうことだ?」

「最近多いんですよ。店の前で大量の風船を割って行くのが」


新聞にも載っていて、昨日テレビでこのことが流れいた、と付け加えた。
朝も夜も新聞やテレビを見る余裕がここのところ無かったロイが知らないのは仕方がない。


「あちゃー、酷いっすねぇ」

「ハボック!」

「マスタングさん、とりあえずこれ片付けちゃいましょうよ」

「そうだな」


音を聞いて何があったのか分かっていたハボックは、箒と塵取りを持ってきていた。
早く片付けなければ、これからくるお客に迷惑をかけてしまう。


「私は店長に報告してくるので、こちらは2人に任せます」

「あぁ、頼んだぞファルマン」

「これ、ただの子供の悪戯にしては度が過ぎてますよね」

「被害にあった店は少なくないらしいな」

「何で石灰なんか入れたんすか…」

「知るか。とにかく、急いで片付けるぞ」



割れた風船は箒で掃いて集め、石灰が散った部分にはバケツに汲んだ水をかけた。
店の前だけ濡れていて不自然だが、そのままにしておくよりは大分マシである。
なんとか開店前に片付けを終え、2人は持ち場に戻って行った。


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