書物
□真実
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西の空が紅く染まる夕闇が国語準備室を照らす。
朱に染められた部屋の中で、その風景に居心地の良さを感じながら、テストの採点をしている。
ガララララ…
突如開いた準備室のドアに、ピクリと肩が浮いてしまう。
この時間になると、必ず現れるお前の姿。
振り向かなくても分かるお前の気配…
「待ったかよ?銀八。」
「待ってね〜よ。生徒はとおに帰宅時間過ぎてんだろ?さっさとお前も帰りなさい。」
皮肉混じりに、言葉をかければ、かかった様に俺の背中に抱き付くお前。
お前の温もりと心臓の鼓動が伝わり、なんだか安心感に見舞われる。
「んな事は、関係ねぇだろ?俺、もう限界なんだ…抱かせろや…」
耳元で囁かれ、ビクつく体は自然と熱を帯始めてしまう。
「んな馬鹿な事言ってね〜で、さっさと帰れ!昨日散々やっただろうがぁぁ!」
高杉にバレない様、体を包む両腕を解くと、テストの採点を続けた。
餓鬼のくせに、いつも俺のペースを崩す高杉。
先生と生徒の関係は遥か昔に超えていた。
するといきなり、椅子を引かれ後ろへと倒れ込んでしまい、上に高杉が跨がって来た。
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