最初は。
なんて失礼な人間だろう、と思った。


「おい、猫」


そんな風に呼び掛けられても困るのよ!

猫っていうのは人間が勝手につけたアタシの仲間も全部指す言葉でしょ?

まあ、そう認識してはいるから素直に振り向いてあげたけど。


「お前、一人なのか」


猫のアタシに対して“一人”って表現はどうかと思うけど…とりあえず肯定。

ニャー


「……来るか?」


あの日はちょうど雨が降ってて。

アタシは濡れるのが嫌で、その人間に抱かれて雨宿りの場所へと向かう事にした。






【Cat】 ―Jin.A―








「メシだ、猫」


あれ以来、仁の部屋に住み着いて飼い猫となってしまったアタシ。
(ちゃっかり首輪ももらってある。)

でも未だに仁はアタシを猫と呼ぶ。


「さっさと食え」


ちょっと不満の眼で見つめてみても、この鈍感な男には通じる訳もなく。

ニャー!ニャー!

鳴いて抗議しても言葉が通じないんじゃ意味がないし虚しい。
観念してゴハンを食べる。


「ケガしてくんじゃねーぞ」


仕事に出かける間際、いつものように玄関からアタシに声をかけてくる。

そんなのコッチの台詞よ。


「いってくる」


いってらっしゃーいと仁を見送り、ゴハンを食べた後はいつも開けっ放しの窓から冒険の旅へ。

ケガが怖くて猫やってられるか!
とりあえず、運動がてら空き地まで走って日向ぼっこ。





お昼になって。

お腹がすいたら魚屋さんでゴハンを分けてもらう。


「また来たな、美人さん」


そう言ってアタシを撫でながらゴハンをくれるオジさんは私の好きな人間第2位。


「明日も来いよー」

ニャー


オジさんにさよならを言って寄り道しながら家へと帰る。
好きな人間第1位の仁の元へ。

夜にならないとアイツ帰ってこないけど…部屋にいれば仁の存在を感じられる。






今日もアタシは夕日を見ながら仁を思う。

仕事つかれてないかな?
ケガしてないかな?
ちゃんと帰ってくるかな?

そして貴方もアタシの事を考えてくれてたらいいのに、って思うんだよ。




ねえ、だから。


アタシは貴方のものだって印を頂戴?
首輪だけじゃなくて。


名前をつけて、アタシを縛ってよ。










―――――――
以前、日記に載せた短文。
ちょっと手直しして再アップです(^^;)
うーん…内容ハチャメチャw

拍手ありがとうございました!


お礼1種のみ。
レスは日記にて。




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