D.Gray-man_

□キミノトナリ
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今日は8月10日。何の変哲も無い金曜日の事――――
昨日任務から帰ってきた神田ユウはいつものように朝食をとろうと黒の教団食堂へ出向いた。









キミノトナリ〜I'm glad to see you〜











「ザル蕎麦を頼む。」
「はいは〜いwwちょっと待っててねvv」



いつものように朝食をジェリーに頼み、出された蕎麦を持って席につく・・・・。
そんな当たり前の毎日――――では無かった!!!



「「「「「「「「「「キャ―――――ッッッ!!!!誕生日おめでとうございますぅvv」」」」」」」」」」



甲高い女達の声が聞こえてきて、なんだと思い、声が聞こえてきたほうに視線を向けるとそこにいたのは―――――



「ラビ、誕生日おめでとう。はいコレ、私とミランダからプレゼント。」
「ラ、ラビくん。誕生日おめでとう。」
「おぉラビッ!!!おめでとう。後で科学班来な!プレゼント用意してるぞ。」
「みんなありがとさぁwwありがたく受け取るさぁvv」



そう、そこにいたのは、神田の恋人、ラビ。
今日はラビの誕生日だったのだ。
さわやかで人当たりのよい笑顔で皆からのプレゼントを受け取っていく。



「おvvユウ!!!帰ってたんさ?おかえりぃ〜vv」



ラビは皆からのプレゼントを手にしながら、神田のほうへと向かっていく。
しかし神田は何も言わず、食べ終わった食器を厨房に返すと、さっさとどこかへ行ってしまった。



「ちょっ、ユウ!?待つさぁ!!!」



ソレを追おうとするラビ。
しかし、皆からのプレゼント攻撃で上手く追いかけられず、見失ってしまうのだった。
実は、神田はラビの誕生日を忘れてしまっていて、プレゼントもなにも用意していなかったのだ。





普段はうるさくていつも自分の周りにまとわりつくラビ。
でも、いつからかそのうるささが自分にとってなくてはならないモノになっていった。
だから誕生日くらいは祝ってやりたいと思えた・・・。
実際ラビは自分の誕生日の時はそりゃあもううるさいくらい祝ってくれたモノだ。
それなのに、それなのに・・・自分はプレゼントどころか誕生日そのものを分かっていなかった。



そんな自己嫌悪を抱えて、神田はいつも修練している森のさらに奥深く、まだ自分1人しか知らないであろう小さな湖の前に座っていた・・・。



その頃ラビはというと・・・?



「ユウ?入るさぁ・・ってアレ?いないさ。(汗」



どこかへ行ってしまった神田を探すため、修練場やら神田の自室やら色々と探し回っていましたとさ。



「やっぱココなんかねぇ〜?」



部屋にも修練場にもいない神田。
もう心当たりといえば、森の中しかない。
ラビは森の中へ入っていきました。






「・・・・ん?」



冷たい風が頬を撫でるようなそんな時。
神田ユウは目を覚ました。
あのまま湖の前にいた神田はいつしか眠ってしまっていたのだ。
あたりはもう暗くなっており、さすがにもう帰ろうかと思い、腰をあげたその時・・・。



「ユウちゃんめ――けっww」



誰かが神田に後ろから抱きつきました。



「もうユウちゃん突然いなくなるから探すの苦労したんさぁ〜ww」



もちろん抱きついたのはラビ。



「ラ・・・ビ・・?お前・・・なんでココがっ!?」
「ん?そりゃぁもうユウちゃんへの愛の力さぁvv」
「そうかよ・・・。ラビ・・・俺・・・。」
「ん?あぁ分かってるさぁ。誕生日忘れてたんさね?」

「え・・・?な、なんで分かるんだよ・・・。」
「ユウは分かりやすいからさぁvv」
「そうかよ・・・ラビ・・・。」
「ん?なにさユウ?」



そこまで言うと、神田はラビの方へ向き直り・・・。



「忘れててゴメン・・・誕生日おめでとう。」



うつくしい漆黒の瞳でラビの隻眼を見つめ、そういいました。


「ありがとさぁwwでもユウ?プレゼントならしっかり貰ったさvv」
「は?どういう意味だ?」
「はいはいじゃあ空にご注目〜vv」
「え・・・・?あ・・・。」



2人が見上げた空には満天の星空が広がっていました。



「こんなきれいな空、めったに見れないさぁwwユウがココにいてくれたおかげでいいものみれたさww」


そういうと、ラビは神田の手を握りました。
そして神田もラビの手を握り返しました。



「それとユウ。俺はユウにいつもたくさんプレゼント貰ってるさvv」
「え?」
「俺はユウと一緒にいられるだけで幸せなんさww」
「なっ///なにを言うんだお前はっ!!!!」
「うわぁvvユウちゃん真っ赤になっちゃって可愛いーvv」
「黙れ!バカ兎!!」
「はいはいやっぱりユウは可愛いさぁvv」
「///・・・・おいラビ。」
「ん?どうしたさ?」
「誕生日おめでとう・・・いつもありがとう。」



そう言って神田は自分から触れるだけのキスをした。





いつ別れがくるか分からない俺たちだから、
せめて一瞬でも多く、
君に出会えた奇跡に感謝しよう。





君がいるだけで幸せになれる。
君が隣にいるだけで強くなれる。
君に出会えて、本当によかった。
君の隣にいられて―――――






本当によかった

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