日向 ぼこ

□ЯΛΙVU[ライヴ]〜出会い編
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 「ほら、しっかり走れー」
体育の授業。これほどイヤなものはない。
もうすぐ体育祭が近いので陸上、つまり走る種目ばかりやらされる。
私は走るのが嫌いだ。いや、運動が嫌いだ。
足も遅い。ただ疲れるだけ。

「行けー、来來ー」
男子がリレーの練習で競争していた。
足、早っ。人間か?
男子というものは女子より運動能力が高い。うらやましいものだ。
「来來君かっこいいー」
一部の女子が騒いでいる。
かっこいい?・・・。
まぁ、認めよう。男子の走っている姿には目を奪われるものがある。
特にトリオなら、髪をなびかせ走る姿は輝いて見えるだろう。

キーンコーン___

一日の授業も終わり、放課後。
とりあえず教室の掃除を済まし、部活に入っていない私は帰る支度をしていた。
「シーちゃん、帰るの?」
晄が声をかけてきた。
シーちゃん?私のことだよね?
初めて呼ばれたあだ名に私は戸惑った。
「バイバイ、シーちゃん。」
「あ、バイバイ」
晄はにこやかに去っていった。
なんだ、なんだ、なんだ?何なんだー?
『シーちゃん』なんてあだ名初めて呼ばれたぞ。
よくわかんない汗が出てきた。
私はできるだけこの心理状態が知られないよう、そーっと教室を出た。


「ふーん」
優夜は今までの私の様子を観察していた。
「どうした?優夜」
隣で車の雑誌を見ていた来來が聞いた。
「晄みたいにたまに人間観察するのも悪くないな」
優夜がほほえんでいる。
めずらしいこともあるもんだな。
来來はまた雑誌に目をおとした。
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