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□雪
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今年 初めての、雪が降りました。


地面も、木々も、全てが白くて 白くて。
そして 少しだけ、光り輝いていて。

銀白の世界という言葉の意味が、初めて分かった気がしました。


「積もったな。」
雪を踏む音がして、彼が私の隣に立って言いました。「……雪……美味しそう……です…」
私が思った事を正直に言うと、彼は笑って
「お前らしい。」
と、そう言いました。




「雪が降ると その年の終わりを感じる」
彼は、静かに言いました。「今年もあっという間だった、とか思ったりな」
「………そう……ですね……」
「……戦いはまだ、終わりそうにねぇけどよ」


そう言う彼の表情は、どこか少し、哀しそうで。
それでいて、どこか少し、嬉しそうで。
「………つまんねぇ戦いだからよ。できりゃ、さっさと終わってもらいたいが。でもな、終わって欲しくないとも 思う」
「………何故……ですか……?」
彼はそれには答えずに、ただ微笑んでいました。





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