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□ねがいごと
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十二月某日。
「ッあーー!今日も疲れたーー!!」
ヒロムは部活帰りで、思い切り 背伸びをした。
「…………強くなってるのかなぁ、僕。」
そう呟きながら、真っ暗になった道を歩いた。


しばらく歩くと、ヒラヒラと粉雪が降ってきた。
「寒いなぁ………」
手に息を吹き掛けながら、空を見上げる。
「………そっかぁ、もうすぐ クリスマスか……」
「……そう、だね……そうだった……すっかり………忘れてた……」
「…え?」
振り向くと、そこには。


「アキラちゃん!」
「……う……ん……」
「どうしたの、こんな時間に?」
「……ちょっと、散歩に。キミは……部活でしょ?」ヒロムはかなり驚いた顔をした。
「アキラちゃん エスパー!?」
「……別、に。ただ………キミは 人一倍 卓球が好きだから。……人一倍、頑張るでしょ?」
「………ありがと。」



しばらく、二人とも無言で歩いた。
ヒロムが思い付いたように言う。
「……そうだ。」
「……なに?」
「アキラちゃんは、サンタさんにお願いとかある?」「………え?」


…素……なのか。
笑顔で尋ねてくる少年を、アキラは じっと見つめる。



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