1

□絵本
1ページ/2ページ






ねぇ、もう夜になったよ。


ねぇ、怪物達もいないよ。


ねぇ、ほら、月が出てるよ、





この世界の中心にある
この平原で



心地良い風が吹く平原で



蒼くて白くて、丸い月。



綺麗だろう…………?



ねぇ君も 見てるだろう?

何で 君は黙ってる?


僕、何か怒らせたかな……?





この綺麗な夜。

まるで、絵本みたいだ。



ねぇ だから。
出て来てくれないかな。


ねぇ隣に、
並んでくれないかな。


ねぇ、黄昏の姫様……。
勇者の我が儘、少しだけ
聞いてくれないかな……?










ああ。もうすぐ夜が明ける。



月はもう、平原の果て



太陽が辺りを照らし始めて



何だか、
絵本のおしまいみたいだ。



ねぇ、姫様。まだ怒ってる?



…………分かったよ。



もう、歩き出さないとね。



また今日が始まるから



また冒険の続きをしなきゃ。



姫様が ご機嫌ななめにならないように


ほら また
絵本の表紙を開こうか。

END



次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ