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□男泣かせの雷魔道士。
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正直、シノンは困っていた。
(こんな細い体のどこに これだけの量が入るんだ……?)
目の前のテーブルには、積み重ねられた何枚もの皿。そして、今もなお その皿を増やし続けている少女がいた。ちなみに、この少女は魔道士である。
(百歩譲って 騎士とかだったら分かるんだが……)



シノンが 指定された配置に着くと、そこには少女がいた。
「……ぁ……、イレース…です。よろしく……お願いします……。」
「俺は…シノン。スナイパーだ。」
「はぃ…。」
イレースは ふらついていて、元気が無かった。
「どうした? どっか具合悪いのか?」
「………ぁ……」
イレースが言う。


「………お腹……空きました……。」
「……は?」


信じられなかった。
戦いのさなかに、こんな事を言う奴がいたとは。
驚きもしたし、呆れもした。
けれど、イレースの事を 可愛いと思ったのも 事実で。
「……しょうがねぇな。この戦い終わったら、飯 食わせてやるから。」
「………ほんとう…ですか……!?」
奢る気になったのは、多分、イレースに惹かれたからで。
明るい表情になったイレースを見て、微笑んだのが きっとその証拠で。




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