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□求めたのは涼しさと、
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「あついアル〜」

神楽は公園のベンチでぐったりしていた。

「このままじゃせっかくの酢昆布の味もわかんなくなるヨ…」

どこか近場で涼しそうなところに避難せねば、と神楽は身を起こした。



「──で、ここに来たわけですかィ」

20分後、神楽は真選組屯所にいた。

「おぅヨ。税金ドロボーなんだからクーラーきいてるダロ! 入れやがれコノヤロー」

偉そうに言う神楽に、沖田はため息をつきながら答えた。

「クーラーなんてハイカラなもんうちにはねェよ。むしろヤローばっかで暑さ三割増し」

──確かに。ただでさえ男くさい連中が汗をかいてそこここに転がっているのは…見ててもンのすごく暑い。ていうか熱い。

「三割どこじゃないダロ…」

神楽は来た事を後悔した。体感温度が確実に上がったからだ。

「──俺も暑くて辛かったんでさァ。クーラーきいてるとこ探しに行こうぜ。土方もいねェし」

神楽を見ていた沖田は、そう言うと歩き出した。

「どこアルカ?」
「う〜ん…コンビニとか?」
「つまんないアル!!」
「うっせ、涼しさには代えらんねェ」

それもそうだと神楽は大人しく沖田についていった。



「うぉ〜涼しいアル!!」
「だろ?」
「なんでお前が得意気なんだヨ」

冷気が満ちた店内がすっかりお気に召した二人は、居座る事にした。



「ちょっ! テメ、なんの雑誌見てるアルカ!!」
「お前みたいなガキは見れない大人の雑誌」
「つーかお前もガキだろうがァァッ!!」
「俺は精神が大人だからいいの」
「あ〜確かに汚れてるアル」
「んだとコラ」

いつもの調子で喧嘩をしようとしたら、店員に追い出された。何も買わず三時間居座り続けたせいでもある。

「お前が騒ぐから、追い出されたじゃねェか」
「こっちのセリフアル!!…でももう夕方で涼しいから許してやるヨ」
「へいへい」

他愛ない話をしながら歩いていると万事屋に着いた。
神楽はこうしてさりげなく送ってくれる沖田が好きだった。

「……ありがと」

俯いて礼を述べる神楽に、沖田は笑った。

「礼はいいから、またデートしてくだせェ」
「は? でえと??」
「平仮名で発音すんな」
「だ、だってコンビニ行って、散歩しながら帰ってきただけアル」
「ん〜好意持った男と女が二人でどっか行きゃあ、立派なデートだろィ?」
「こうい?」
「好きってこと」
「すっ好きって…」

沖田の言葉に真っ赤になる神楽と、それを見て嬉しそうに笑う沖田。

「─…じゃ俺は帰るぜィ」

沖田は神楽の頭をポンと叩くと、背を向けて歩き出した。
ポケットに手を突っ込んで歩く後ろ姿に、神楽は声を張り上げた。

「総悟!─…あした…明日、また涼しいとこ探しに行こうナ!!」

神楽の言葉に沖田は足を止め、顔だけをこちらに向ける。満面の笑み。

「もちろんでさァ」



そんな沖田を屯所で待っていたのは、鬼の形相の土方だった。

「そ〜う〜ご〜? テメ仕事サボってどこ行ってやがったあッ!!」
「野暮なこと聞くなよ土方さん。てか死ね土方」
「反省の色ゼロかァあああッ!つか最後ボソッと何言った!!」

土方の攻撃を交わしながら、明日はどこに行こうか、涼しくて楽しいところ──映画館とかいいかも、と考える沖田であった。











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