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□きっかけは、遺留品
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「………じゃあ、その手にある紙は何だい?」
「!!………うぅ……」
「見せてもらいますよ、狩魔検事。」
にこにこと笑いながら、成歩堂は 紙を見る。
「…………ぁ。」



「………ふ、ふん!! それは あなたにやるわ!! い、いらないもの、そんな………」
「『役に立たない物』?」成歩堂は 微笑んで言う。「そんな事ない。とても重要な物だ。少なくとも、僕にとってはね。」
「………………。」
冥は、何か言おうとして、やめて、立ち上がった。
「……私はもう行くわ。」

「狩魔検事。」
成歩堂が、冥の背中に声をかける。
「……………。」
「ありがとう。」
冥は振り向いて、何も言わずに刑事課を出ていった。


冥が行ってから、成歩堂は彼女の残した紙を見る。
それには、
『成歩堂 龍一』という文字。そして、下手なりに
頑張って描いたのだろう、成歩堂と見られる、人の横顔が。


「素直じゃないなぁ、本当に。」
似顔絵を見つめ、成歩堂はフッと笑った。


でも、まぁ……


そんなトコが、可愛いんだけど、ね。

END



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