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□ねがいごと
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……まぁ、いい。
彼が信じているのだから、それでいいだろうと、アキラは思う。



「僕はねぇ、プレゼントとか いらないから、お願い事 叶えて欲しいんだ。」「……どんな?」
「………えへへへ。………ちょっと変なお願い事だけど。」
ヒロムは 空を仰ぎながら言った。



「『アキラちゃんが、もっともっと笑ってくれますように』」
「え………?」
ヒロムはアキラを見て、照れ笑いをした。
「………叶うと……いいね……」
「叶うよー、きっと。」
「………………うん」
アキラは うつむきながら小さく頷いた。



「………じゃあ……今度は私の願い事………だね」
「なになにー?」
アキラも、空を見上げて言う。



「『藍川 ヒロムが、もっともっと強くなりますように』」
「……え……僕……?」
アキラは頷いて、微かに微笑んだ。
そして、それからは 何も言わなかった。



キミには、もっともっと、強くなってほしい。
誰よりも、誰よりも。
そしたら、多分。


私もきっと、
笑えると思うから。

END




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