捧げもの

□お互いに
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「ワオ! 綺麗ね」

「噂通りだな」

 自動ドアを掻い潜りエントランスに足を踏み入れるとそこは、大理石の床に真正面は吹き抜けになっておりエレベーターが見える。シャンデリアが照らす明かりは眩しいとまではいかないがそれほどの光を放っていた。

「お荷物お持ち致しましょうか?」

 ホテルマンがカートを引っ張りながら尋ねた。フォックス達の荷物は着替えを入れた大型のボストンバッグが二つとそれぞれの小物を入れたバッグだ。

「あ、お願いします」

「こちらへ乗せてください」

 荷物を乗せ終え、フォックスはチェックインに向かった。「ご予約は?」とフロント係の女性に聞かれペッピーに貰ったチケットを見せる。四人分のチケットを確認した彼女はチェックインの申請用紙を取り出した。名前、住所、etc……

「お部屋は12階です」

「どうも」

 カードキーを受け取り、皆が座っているソファーへ向かった。エレベーターホールには六つのエレベーターがあり、うち一つだけが景色を眺めることが出来るとのことだ。それに運良く乗ることが出来たフォックス達は一面蒼に染まる海を眺める。ところによってはサンゴ礁もあり、その部分だけが水色になっていた。

 長い廊下を歩き、ようやく目的の部屋に着いた。ホテルマンがカードキーで扉を開けると目の前に再び青い景色が彼らの目に映った。広い部屋にいくつかに分かれた部屋。そう、この部屋はスイートルームなのだ。

「やったー」

 スリッピーが勢いよくベッドにダイブする。

「俺も」

 フォックスも同じくベッドにダイブした。ふかふかのベッドに今でも眠ってしまいそうだ。枕に両手でしがみつき、顔を埋める。

――さすが高級ホテル、日用品にあたる何もかもが高級だ。

「この後の予定は?」

「昼はカジノゲーム、夜は色々と」

「良いね、だけど俺はスポーツを楽しみたい」

 このホテルはライラット系で五本の指に入るだけあって、カジノ、スポーツジム、プール、ナイトクラブなどのアミューズメント施設が勢ぞろいで、様々なVIPが訪れることでも有名だった。

「私は海底トンネルに行きたい」

「オイラも同感」

 スリッピーがトピックに書かれた広告を指差して言った。

「じゃあ決定ね」

「俺は行かねえ、さっきと同じだ」

「俺はファルコに付き合う」

 今後の予定が決まるのにそう長くはかからなかった。
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