捧げもの
□お互いに
5ページ/8ページ
夜のディナーは選択式となっている。展望レストランでコース料理、コンベンションホールでバイキング、夜の海底を眺める海底レストラン、浜辺でそよ風にあたりながらバーベキューなど。
フォックスはどちらにするか悩んでいた時、ファルコが話しかけてきた。
「フォックス、クリスタルと二人で展望の方が良いんじゃないか?」
「何だいきなり?」
「気を使ってるだけだ」
「だけどみんな一緒の方が良いんじゃないか?」
「俺とスリッピーはバーベキューで良い。折角だ、楽しんでこいよ」
「じゃあお言葉に甘えて」
フォックスはクリスタルの寝室へ向かった。ドアを開けると黒のキャミソールに着替えた彼女がベッドに座っていた。
「どう、似合う?」
「最高さ、素敵だよ」
「でもセール品」
「君が着ればセールも輝かしい」
「ありがとう、ディナーは?」
「ファルコ達は二人でバーベキューで俺達は展望レストラン」
「二人に感謝ね」
日常で二人きりというシチュエーションはあまり無かった。クリスタルと出会ってからもう一年だというのに未だにお互いを理解したことがない。ひょっとしたら良いチャンスかもしれない、と思いながら部屋を出て行った。