捧げもの
□字はきれいに
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「何やってるんだフォックス?」
携帯型音楽プレイヤーでハードコアを聞きながらファルコがグレートフォックスの会議室に入った。
そこには、スターフォックスのリーダーであるフォックス・マクラウドが机に向って何か作業をしている。書類でも書いてるのか、と思いながら覗くと雑誌にボールペンで文字をなぞっていた。
「見るなよ、恥ずかしい」
「ボールペン字の練習?」
「父さんの遺伝は恐ろしいものがあるよ」
「単に、下手なだけじゃねぇか。遺伝なんて関係ないだろ」
単刀直入に言われ、フォックスはファルコを睨みつけた。ヘッドホンを外し、フォックスの肩を叩いて「俺が何とかしてやる」と自信ありげに言った。
スターフォックスメンバーの中で、達筆なのはペッピーである。以前、字の上手くなる方法の事で彼に相談したが、沢山の課題を出されて挫折したことがあった。
「心配すんなって、俺が字上手いこと知ってるだろ」
「まあ、そうだけど」
確かにファルコの字は上手い。手先が器用なせいか、いつも彼の手書き書類は綺麗に仕上がっていた。もちろんペッピーほどではないが。
「俺が特訓してやる」
かくして、ファルコによるフォックスの文字特訓が始まった。