行進する間奏曲
□戯言集
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――幻想水滸伝――
天から地、過去から未来、無から有。
連綿と受け継がれ告げゆく物語は、いつの世も幾多数多の存在が関わり、世界を変えていく。その者らは108在る宿星の下に集いて、従い、世界に変革をもたらしていく。
しかし、人々は知らない。世界に存在している全てが、たった一つの例外も無く、知る事は出来ない。
108の宿星、そのいずれにも属さない男が居る事を。何に属する事なく道化のように気まぐれに顕れては一時的に組する男が存在する事を。
その者に宿星は無い。いや…もしかしたら109番目の宿星なのかも知れないが、その宿星に名前は無い。
人々に認知される事のない宿星を持つ者は、世界が危機に瀕する時に顕れ、光り輝く凶兆星の如く赤い/紅い/朱い瞳を爛々と輝かせる。
世界の終わりと始まりを識る者の名は――トワ。
その者に紋章は無い。……否。在るには在るが、見える事は無いのだ。
何故なら、その者の存在自体が紋章なのだから。
勿論、紋章にも名前は無い。
付けるとするのならば【森羅万象】か、あるいは【万物流転】か……。
その大いなる時の名を冠する者は、全てに関わる紋章を持っていた。
27在る真の紋章。
108在る宿星の名。
そのどれにも関わる【永久】は、そのどれにも属する事は無い。
何故ならば彼は、星の下には存在しないからだ。星の埒外に在るのか、それとも星の上に佇んでいるのか。いずれにしろ、少なくとも彼は星の領域には存在すらしていなかった。
27の上に在る1。
108の外に在る0。
壱で在り全で在り、全で在りながら零でも在る。
唯一無二の象徴たる者は、今日も何処かで誰かに怒られながら面倒事に巻き込まれているだろう。
例えば、ファレナ女王国で。
第一王子の側近に任命され。
ざぼったり馬鹿やったりして。