小物
□夜の火
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それでも、無目的に歩いていると嫌でも周囲の声が入ってくる。
でも、言っている事が分からなかった。
どうして分からないのか、それすらも分からなかった。
「…やっぱり、帰ろう」
暗い闇に落ちた街を迷わないよう、道に気を配りながら歩いた。
闇に紛れた街は昼に比べ大きく姿を変える。
見えていたものが見えない。
今まで気付かなかった物を唐突に発見する事もある。
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