小物

□闇空光
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空は無限に在った。
何処までも続いていて、追いかけても追いかけても巡ってこない宇宙が存在していた。
いや、宇宙に果てなど無いのか。
空はいつも青くて、そのすべてを見下ろしていた。
宇宙はいつも闇を抱えていて、それらをそっと優しく抱きかかえていた。
今までも、そしてこれからも。

いつか、闇はそっと手を伸ばした。
自らの懐にある、青い青いその空に。
しかし空は闇から伸びた手を拒み、その色を自らには映さなかった。
かの光は闇を照らし境は作れど空の青さを歪ませるような事は許さなかったのだ。
空は光に護られて、また自らを輝かせる為に光を受け入れて今日を生きた。
弾かれた闇は目の前にある空に混じれない空虚さをそっと胸に抱え、境界を作り自らとを分け隔てる光に感謝しながら今日を生きた。

空は空で、闇は闇だった。
光は微笑ましくもそれらを見守り、自らもまた闇に抱えられてそこに在った。

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