A to Z

□【C】
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やさしい君


【C】
暑くて暑くて授業から逃げ出した。


先生達は屋根のついたベンチに座って、それでも暑そうに出席簿のファイルで首もとを扇いでいる。


炎天下に放り出されてグラウンドを走っている私たちはもっと暑いってことを分かっているんだろうか?


今日は朝から特に体調が優れなくて、グラウンドも3周目を超えた所で目の前がチカチカとし出した。


「まずいな〜」


小声で呟いたのが聞こえたんだろう、隣を走っていたクラスメートの女子が


「大丈夫?具合悪いんなら休みなよ!」


と肩をパンっと叩いて追い抜いて行った。


確かにヤバいかもしれない。


徐々にスピードを落として息を整えても冷や汗をかいているような気がしてきた。


流れに乗って半周走ってしまった事を後悔しながらグラウンドの真ん中を通って一直線に教師の所に向かった。


「せんせー具合悪い…」


「おいおい大丈夫か!?顔真っ白だぞ!保健室行ってくるか?ベンチじゃ熱いだろ。」


「うん…行ってくる…」


気をつけて行けよ、と先生の声を背中越しに聞きながら砂にラインを引きズルズルと保健室へ向かった。



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