千月的徒然草

□Case4:Triangle
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Case4:敬

教室の一番前の席。
そんなところに座っていても、授業の内容なんて耳に入ってこない。
俺の頭を占めるのは、この間のこと。

『でも、敬は百合ちゃんが僕とデートしてもいいと思ってるの?だって、敬は百合ちゃんのことが…』
『やめろ!』

恵は俺が百合を好きなことを知っている。
だからなのかは知らないが、恵は百合から誘われてもデートをしようとしない。
別に、断るわけじゃない。
でも、断るよりもずっと性質は悪いかもしれない。

恵は、百合に誘われたデートに、俺を誘う。
いいかげん、やめて欲しいと思う。
だって、お前がはっきりしないから、百合の想いは空回りしてる。
お前がはっきりしないから、百合は確かに傷つかない。
でも、お前がはっきりしないから、百合はあきらめる事すらできない。

俺だって、百合が好きだ。
別に、お前とくっついて欲しいわけじゃない。
自分の想いをあきらめて欲しいわけじゃない。
傷ついて欲しいわけじゃない。

でも、この状態は、あまりにも曖昧すぎるから。

空回りしている百合を見ていたくない。
だってこのままじゃ、俺の想いも空回りしつづける。
傷つくことも、あきらめることもできないから。

想いだけが空回りし続けるのは、ひどく、苦しい。
ひどく、虚しい。

だって、この状態では、あまりにも曖昧すぎる。
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