白雪
□01
1ページ/7ページ
その時、私はこの状況を招いた自分の行動にかなり後悔していた。
コンタクトが下校中に外れたからといって公園の公衆トイレなんかで直すものじゃない。
ただでさえ今時珍しいハードタイプのコンタクトレンズなんだから、とっととケースに仕舞って家でゆっくり直せばよかったのかもしれない。
それに元来視力はそんなに酷くはない。
黒板の文字を見るのに少し支障があるから付けているだけだ。
別に付けていなくても日常生活に問題ない。
そもそも私は中学まで眼鏡で、高校生になったのだからとコンタクトを勧め、あまつさえ贈ってきたのは五つ上の兄貴だ。
折角なので今日まで付けていたが、今回ばかりは兄貴を恨んだ。
眼鏡だったら外れる心配もなければ直す必要もなかった。
兄貴が別の物を入学祝にくれれば…別の物を……
だが心中に呟きを漏らしても現状が変わるわけでもない。
この限りなく面倒この上ない状況が。
「ちょっ…ここ女子トイレ!ちゃんとご婦人用のマーク付いてたぞ!」
_