白雪

□03
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「―――!!」
「―!?」
「―――!――!?」
「――!!」

聞きなれない音の言葉が飛び交う。
英語が得意じゃないからだ、とかそんなものじゃない。
ヒアリングに自信はないが、それくらいは解る。
英語などのラテン語から発祥した言葉では明らかにない。
発音自体はドイツ語に近いかもしれないが、文法が全く違うように感じる。
SもVも聞き取れないのだ。

「なあ…」
「何」

渋谷君はかなり引きつった顔で問いかけてきた。

「ここって…テーマパークか何か…かな?」
「……だったらいいねぇ」

うっかり迷い込んだテーマパークのイベント。
もしくは演出か何かだったらどんなに物事がスムーズに済んだだろう。
だが目の前の村人風の人々がそっちの関係者でないことは一目瞭然。

そう、お世辞にも友好的とは程遠い。
ガン飛ばしまくりの上、手には鎌や鍬などの農耕具。
その利用方法を想定するのは容易い。
それで斬りつけたり殴ったりするのが簡単に想像できる。
……う、リアルにえぐい想像してしまった。

だけどどうも解せないのは彼らの表情。
嫌悪や怒りではない。
どちらかというと畏怖とか恐怖、憎悪に近い。

おかしい。
私達のような只の子供に怯えられるような要素はないはずだ。


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