白雪
□03
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考えろ。
考えろ。
ここから逃れる方法を。
脳の片っ端から思考を巡らせているうちに、村人の罵声に似た声(言葉が分からないので正確には不明)に混じってテンポの速い馬の足音が聞こえ始めた。
蹄の音が止まると同時に発せられた強い命令調。
止む投石。
派手に馬から降りるのは長身の男。
だがその人は…なんとゆーか……
「……アメフトマッチョ?」
そうそれだ。
ぼそりと呟いた渋谷君の発言に心中で同意する。
うん、ナイスネーミング渋谷君。
それほど彼を表すに相応しい言葉はないだろう。
見上げるほどの長身に見合った逞しい胸板に太い腕。
顎が割れているが、西洋人らしい鷲鼻の美形。
まじでアメフト選手だったら、ファンが山のようにいそうだ。
…彼の腰に納まっている鞘に包まれたいかにもな真剣はこの際見ないでおこう。
「あ、皆さんを止めてくださって、マジありがとうござ……」
渋谷君が礼を言い終わる間もなく、マッチョなお兄さんはずんずん近付いてきて私達を見下ろしてきた。
鋭く青い瞳は強い眼光を湛え、嫌というほど威圧される。
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