白雪
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又は白骨死体。
又は骸骨。
おまけにこれまた白骨化(黄ばんでるけど)した鳥類の羽まで付いていて、羽ばたきながら宙に浮いている。
ずささささっ
私は力の限り後ずさる。
駄目だ。
生物室に鎮座しているならまだしも、これは生理的に受け付けない。
有り得なさ過ぎる。
「陛下から離れろ!アーダルベルト!」
空飛ぶ骨格標本に気を取られていると、既に兵士らしい一派は目の前に駆けつけていた。
「住民は傷つけるな!散らせ!」
凛とした青年の指示が響く。
馬は人だかりに割り込み、屯していた村人をばらつかせた。
いくつもの人の動揺と悲鳴、地面を踏む音が辺りを包む。
その際に砂埃が舞い、こちらまで喉をくすぶらせる羽目になった。
「けほっ…こはっ」
砂が目に入る。
合理的なのは分かるが、出来れば馬から降りて直接散らして欲しかった。
必然的に黄土色の砂煙が視界を覆う。
その中で聴覚だけが鮮明だった。
ゆらりと揺らめく影と甲高い正体不明の金属音。
うっすらと砂塵が晴れると、音の正体が見て取れた。
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