白雪
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感覚的にはそんな感じっぽい。
首を少し捻ってギュンターさんに問うてみるが、今度は彼が眉を顰めた。
「でん…ぱ?それはいったい何ですか?」
「え?………あ、そうか」
少し考えてみて、はたりと気付く。
きっとこの世界には電波という物も単語も存在しないのだろう。
電波なんてこっちの世界の人間が作り出したものでここにある筈がない。
「えーっと、他に何て言ったらいいんだろ…」
唯でさえ普段普通に使っている言葉を別の言い方にすること自体少し頭を使わなくてはいけないのだ。
ましてやこの世界の人に通じる単語に絞られるとなると…
「ああ、大丈夫。そんな感じですよ。厳密には少し異なりますけどね」
“電波”の変わりになりそうな言葉を探っていると前方から答えが返ってきた。
意外にもその回答者はコンラートさん。
「そうなんですか」
渋谷君もなるほどー、と手を打つ。
でも…あれ?
ギュンターさんが知らない“電波”をどうしてコンラートさんが知ってるんだろ。
なんとなく語感で分かったとか?
だけどここに漢字なんて絶対ないだろうし、有り得ない。
外国人に四文字熟語教えて意味考えろ、と言うようなものだ。
どうしてか聞きたかったけど、何となく憚られた。
まだ聞いちゃいけない気がする。