白雪
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青い空。
燦々と輝く太陽。
そしてその中を泳ぐ羽付き骨格標本。
…なんてシュールな景色なんだろ。
でももう突っ込む気もおきない。
畦道をぱっかぱっかと馬は進む。
「あ、コッヒーだ。お〜い、コッヒー!」
もうすっかり慣れたのか妙な愛称で渋谷君は骨飛族に向かって手を振る。
それに反応して骨飛族はカタカタと歯を鳴らした。
……不気味以外に感想が思いつかないんですけど。
「え!?ねぇ、もしかしてあれ怒ったの?怒らせた!?」
渋谷君はくるりとこっちの方を向いて焦った顔を見せた。
「違いますよ陛下。あれは陛下にお声をかけられて感極まっているのです。もともと彼等に『個』という概念はありませんので、一人に伝われば全員に伝わったも同然です」
だから斥候や見張りに重宝するのですよ、とギュンターさんは説明する。
…でも説明する相手がよく分かってないなら意味ないと思いますよ。
渋谷君はこちらから微妙に分かる程度だが眉を顰めている。
正直私もその説明じゃよく分からん。
なんとなく分かるような、分からないような。
「えーっと…つまり骨飛族はみんな電波みたいなので繋がってるってことですか?」