白雪
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そのあと私は“貴賓室”と称されたやたら煌びやかででかい部屋に通され、6人の侍女の方に風呂場まで連れ込まれた(浴室内での世話は丁重にお断りしたけど)挙句の果て、今度は着せ替え人形状態だ。
はじめこそ何だか腫れ物を触るかのような接し方だったけど、服を着せられながら話を繰り返す内、お互いに大分緊張感がなくなったように思う。
どうやら私は相当御堅い印象に見えていたらしく、軽く言葉を投げたら妙に驚かれた。
「お嬢様、こちらのお召し物なんてどうでしょう?」
「いいえ、お嬢様にはこちらがよくお似合いですってば」
今は完全に打ち解けたっぽいけど。
「それにしても、お嬢様くらいの御方をお世話するなんて初めてです」
「そうなんですか?」
「ええ、最近はお客様も少ないですし…でも、お嬢様のお世話が出来て嬉しいですわ」
「…は?」
頭上に疑問詞を浮かべていると私も、という声が上がった。
「やはり可愛らしいお嬢様はお世話する甲斐がありますから」
そう言ってにっこり笑うのはこの中では一番年配(それでも20代後半くらい)の方だ。
「閣下達のお世話をするより何倍も楽しいですもの」
…きっぱり。
きっぱり言ったよこの人。
ここの使用人さんはやけに強かだな。
というかこの方々はあの美形集団より私の世話した方が楽しいの…?