白雪

□11
2ページ/9ページ

そのあと私は“貴賓室”と称されたやたら煌びやかででかい部屋に通され、6人の侍女の方に風呂場まで連れ込まれた(浴室内での世話は丁重にお断りしたけど)挙句の果て、今度は着せ替え人形状態だ。

はじめこそ何だか腫れ物を触るかのような接し方だったけど、服を着せられながら話を繰り返す内、お互いに大分緊張感がなくなったように思う。

どうやら私は相当御堅い印象に見えていたらしく、軽く言葉を投げたら妙に驚かれた。

「お嬢様、こちらのお召し物なんてどうでしょう?」
「いいえ、お嬢様にはこちらがよくお似合いですってば」

今は完全に打ち解けたっぽいけど。

「それにしても、お嬢様くらいの御方をお世話するなんて初めてです」
「そうなんですか?」
「ええ、最近はお客様も少ないですし…でも、お嬢様のお世話が出来て嬉しいですわ」
「…は?」

頭上に疑問詞を浮かべていると私も、という声が上がった。

「やはり可愛らしいお嬢様はお世話する甲斐がありますから」

そう言ってにっこり笑うのはこの中では一番年配(それでも20代後半くらい)の方だ。

「閣下達のお世話をするより何倍も楽しいですもの」

…きっぱり。
きっぱり言ったよこの人。
ここの使用人さんはやけに強かだな。

というかこの方々はあの美形集団より私の世話した方が楽しいの…?
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ