白雪
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確かにお姉さま方の中には女の子の世話焼くの好きな人もいるけど、周りにあんな見目麗しい方々が溢れてるんだからそっちになびいても不思議じゃないのに。
…やっぱり私達とここの人の感覚って違うのかな。
侍女さんが選んでくれたエバーグリーンのワンピースを着ながらぼう、と考える。
そもそも双黒イコール美しい方程式がある限り仕方がないのかもしれない。
「あ、お嬢様」
腰に付属のベルトのような物を付けていると、不意に侍女さんのひとりに話しかけられた。
先程の一番年配の方だ。
「間もなく晩餐会がございますので、身支度がお済みになったらご案内致しますね」
「晩餐会…ですか」
「はい」
壁を一面とる大きな窓のカーテンの隙間から覗く外は既に黒に染まっている。
そういえばもう日が暮れて大分経つ。
多少空腹感も出てきたので、丁度いい時間かもしれない。
でも“晩餐会”か…
そういう言い方をするだけでやたら堅苦しいイメージが付きまとう。
テーブルマナーで雁字搦めな食事になりそうだ。
別に自分のテーブルマナーはそんなに悪いわけでもないとは思うけど、自信を持ってマナーがなっているという断言は出来ないレベル。
ましてや洋食のマナーなんて音を立ててはいけないということ意外はろくに知らない状態だ。
はっきり言ってめんどい。