白雪
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「その晩餐会ってどれくらいの人数で行うんですか?」
人数が多ければ少しくらいとちってもまぎれるかもしれない。
そんなせこいことを考えながら(微妙な好奇心もあったけど)問うと、侍女さんは少し考えるように手を頬に当てる。
「確か…参加するのは陛下とお嬢様を含めて6名だった筈ですわ」
「案外少ないんですね」
「ええ。眞王の晩餐は魔王陛下と近しい血族だけで行う特別なものですから」
「それじゃあ参加する方々って…」
「フォンヴォルテール卿グウェンダル様、ウェラー卿コンラート様、フォンビーレフェルト卿ヴォルフラム様、それからフォンクライスト卿ギュンター様です」
声には出さず、心中でうっ、と呟く。
すらすらとよどみなくフルネームで出てきた面々は城に着いたときに揉めたメンバーそのまんまだった。
明らかに…明らかに寒い空気が立ち込めるのが目に見えている。
ただでさえ渋谷君も私も彼らにはいい目で見られていない状況なのだ。
ヴォルフラムさんにいたっては見るからに感情的だったし、ひと悶着あるに決まっている。
それにその“眞王の晩餐”というのはあくまで魔王と、それに近しい血族の人間で行われるというらしいし、私なんかが参加していいものなのだろうか。
おそらくその近しい血族というのも多分十貴族かそこらの者を指しているんだろうし、渋谷君とも完全に赤の他人である私が参加するのも……
黙々と頭の中でぶつぶつと思考を練る。
…まあ後半はそれらしい理由をくっ付けただけで本音は“面倒だから出たくない”の一言に尽きるけど。