白雪
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ごたごたも何とか収まって、渋谷君と私は城内に通された。
内装は外観を裏切ることなく豪華なもので、いかにも“城”という感じ。
歩くたびにかつかつ、と音が響く。
音的に大理石っぽいけど、何なんだろう。
最初はぎりぎり差し障りないレベルで辺りを観察しながら暫くはギュンターさんの城内案内を聞いていたのだけど、周りから控え目ながらも痛い視線を感じたので逆にそちらに集中してしまった。
これでも耳はいいので各所から微かに聞こえる内緒話に聞き耳を立てる。
…まあ、行儀がいいもんじゃないけどね。
聞こえるものは仕方がない。
ギュンターさんの案内そっちのけで(どうせ一回じゃ覚えないだろうし)周囲の会話に耳を傾けているとやっぱり私のことについての話が多かった。
ヴォルフラムさんの様子から見て彼みたいに渋谷君にいい目してない人って少なくはなさそうだから、私なんて更に得体のしれない奴なんだろうな。
希少な双黒だってのも不信感買う原因かもしれない。
少ないから、一人しかいないから珍しい、と崇めていられるけど二人もいるとなるとわけが違う。
どちらかが偽者かもしれないと疑いが少なからず生まれる可能性もあるわけだ。
その典型的なのがヴォルフラムさんなのかな。
グウェンダルさんも確実にいい目はしてないだろうし、面倒だ。
結構早くから周りに色目使う人間だったからな…私。
こんなことなら少しはやんちゃして髪でも染めるべきだったかもしれない。
…でもそうしたら学校からの評価下がるな。
却下。
頭の中で思考を自己完結させる。