白雪
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「それじゃあ自分はこれで」
「あ、もしかしてお仕事にいくんですか?」
「…そんなとこ、ですね−」
兵士さん…かな。
それにしては格好が軽装なような気がするけどこのあと着替えるんだろうか。
「そうだ」
既に背中を向けていたお兄さんは、どうしたのか思い出したように振り向いた。
「貴女は行かないんですか?」
「…は?」
一瞬何を聞かれているのか分からなかった。
お兄さんもそれに気付いたのか、すぐに陛下にですよと付け加える。
魔剣探しについていかないのかと聞いているのかこのお兄さんは。
本日三度目の質問(最初は渋谷君、二番目はヴォルフ)だ。
「行きませんよ」
「それはどうして?」
理由?
どうしてそんなことまで聞きたがるんだろう、このお兄さんは。
そんな疑問を抱きつつも、私は反射的に答えた。
「どうしてって、行く必要がないからですよ。私に護衛の真似事をする技術もありませんし」
そもそも私なんて渋谷君のおまけみたいなものだ。
ただ双黒というだけでここに居座らせて貰っている。
「身を弁えているだけです」
自分のここでの存在意義なんてたかがしれているのだから。
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