白雪
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「…夢の中じゃなくても姿見せられるんだね」
「は?」
男は私の言葉が予想外だったらしく、気の抜けた声と共に目を見開く。
「私変なこと言った?」
「いや、そんなことねーけど…アンタ前かなり俺に腹立ててたじゃん。形だけでも追い出そうとするかと思ってさ」
形だけって…仮に追い出そうとしても無駄だって暗に言ってるのかこいつは。
…けど、この人身体透けてるし、閉め出しても壁抜けして戻ってきそう。
「前っても一ヶ月前でしょ」
確かに腹は立ったけど、それだけ経てば私にとっては時効だ。
「ふーん…随分とお気楽なことで」
「執念深いよりはまし」
……まぁでも、私がここに来ることになった原因に貴方が関係してるなら話は別だけど。
「……」
男の表情が固まる。
ふむ、やっぱり届いたか。
強い意思云々言ってたけど、要はテレパシーみたいなもみたいだ。
……でもまさかほんっとにこんな非現実的な…余所様に知られたら確実に痛い目で見られるようなことを重ねる羽目になるとは…
「…アンタ本当に俺のこと怒ってねーのかよ」
あ、これも届くのか。
加減が難しいな。