白雪
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「ま、いいけど」
ベッドからすっと男の姿が消える。
「え…」
「少しは質問に答えてやるよ。全部は無理だけど」
気が付けば白金色の瞳が眼前に迫っていた。
視界の端にちらつく髪は風もないのにゆらゆらと揺れている。
「アンタが現魔王に連動してここに来た直接的理由は俺じゃない。次元の壁を越えるなんざ今の時点じゃ眞王以外不可能だろうしな。けど…」
男は一旦言葉を切る。
「けど?」
「……全く無関係とは言えない。俺に言えるのはこれくらいだな」
この人は正直なのか馬鹿なのか、人の猜疑心を煽ることばかり言う。
相手が感情的な奴だったら逆上する可能性もあるのに。
もしそれすら楽しんでいるなら厄介な人種だ。
…人のことは言えないけど。
このことが伝わっているか否か、男は薄い笑みを絶やさない。
「でもさ」
「?」
「アンタもっと他に聞くことないわけ?」
ふわりふわりと男は宙を泳ぐ。
その中で頬杖をつきながら見下ろしてきた。
「フツー聞かねぇ?俺が何者か、とか」
「…定番の文句だね」
確かに知りたくなくもない。
何よりこの男は素性が知れなさ過ぎる(それ以前に人かどうかも不明だ)。