白雪
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地面を叩く蹄の音の主が姿を見せるのに時間はかからなかった。
三頭の馬が背後からこちらに向かってくる。
乗っているのは兵士らしく、軍服みたいな格好をした人達。
あくまで、みたいな、だ。
ところどころ違う。
「ユーリ!」
先頭を走るリーダーっぽい青年が誰かの名前を叫ぶ。
「え?」
反応したのはなんと渋谷君。
“声”じゃなく“名前”に。
と、いうことは知ってる人の名前か自分の名前かのどちらかだろうけど…今の状況だと後者かな。
…もしそれなら随分と可愛い名前だ。
女の子の名前でも通りそう。
けど…渋谷ゆうり(漢字は不明)か……
音だけなら後ろに“原宿不利”をくっ付けたいところだ。
まだ仮定段階だけど。
「…がっ」
だがその当の本人は不意に天を仰いだかと思えば妙な声を出したまま動かない。
何なんだと私も目線を上げてみる。
「…ぎゃっ」
軽く不用意に見たことに後悔した。
……骨格標本だ。
古いものなのか黄ばんだ色をしているが、確かに骨格標本だ。
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