想い

□カミナリDays
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ピンポ−−−−ン…


「んー?」

インターホンの音に、居間で雑誌を読んでいた青髪の少女のアホ毛がぴくんと動いた。

面倒臭そうにのろのろと立ち上がり、セールスだったら追い返してやろうとか考えながら廊下に出て、自分の靴を履くのも面倒らしく上から踏みながら玄関の鍵をあけ、ドアを押す。

瞬間、少女の倦怠感やら少しの苛立ちやらはすぐに吹っ飛んだ。

「あ………」

そこにいたのは、いつも学校で顔をあわせるツインテールの少女。
いつも一緒に遊びにくる双子の妹はおらず、その少女だけがドアの前で立っていた。

それは思ってもみない来客だったが、青髪の少女にとってそれは嬉しいことだった。

「…ごめん、こなた…迷惑だったかな」

「いやー、そんな事ないよ?かがみだったらいつでもおっけー。深夜に「体が熱いの…」って押しかけてきても広い心で」

「アホかっ!あんたエロゲーのやりすぎで頭わいてるんじゃないの!?」

かがみはただこなたに会いたかっただけなのだが、別に約束していたわけではないのでなんとなく気が引けていたのだ。
それを言い回しはともかく別にいいと言ってくれたので、その言い回しにツッコミを入れつつも内心はうれしかった。

「さ、入って入って」

「うん。じゃ、おじゃましまーす」



「…ってまたギャルゲーなの?」

「うん。でもなんか今変な方向入っててさぁ……」

こなたはPS2の○ボタンをかちかち押しながらうなだれた。
画面では、二次元特有の銀髪ロングヘアで清楚な印象をうける少女が他のヒロインに主人公との中を見せつけられたらしく放課後の誰もいない教室で泣いていた。

「この子を攻略したいんだけど…なかなかうまくいかないんだ」

「んー…でもこういう展開って結局はハッピーになるんじゃ?」

「いや、それがフラグ立たなくてさ…」

「考えすぎよ。そりゃ私はやった事ないし何か言える立場じゃないけど…」

かがみは恋愛シミュレーションについてはよくしらない。
なのでハッピーエンドとバッドエンドがある事は頭のすみでなんとなく覚えているだけだったが、この時かがみはそれを忘れていた。

「まぁ私もこれやるの初めてだしね。どうなるかわからないのは私も一緒だよ」

『私は泉ちゃんの幼なじみなのに…誰よりも泉ちゃんの近くにいて誰よりも泉ちゃんの事を知ってて誰よりも泉ちゃんの事が好きなのに…なんで泉ちゃんの隣には私がいないの…?』

「………げ」

画面の中の少女は最初歳相応の涙声だったが、そのうち低くつぶやくような暗い声になっていった。
その声はもう泣いてはおらず、感情のない声がこなたの恐怖心とドジったという確信をあおる。


−−これの意味する所は。


『泉ちゃんの隣には私だけがいればいい…他の奴なんて邪魔なだけ…泉ちゃんは私の幼なじみなんだから泉ちゃんが好きなのも私だけだよね…?だから……今、目をさまさせてあげるよ………ぁは…』

「………あーあ」

かがみは漫画「未来日記」を読みながら嘆息した。

開いたページでは、虚ろな目をした主人公が椅子に縛りつけられて廃ビルに監禁されている。




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