旅支度編
□No.10
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―――前回のあらすじ――――
心優しいカタバミ船長のお陰で、豪華な船へ乗り小さな航海へ出た一行。
しかし突然、ナギが倒れてしまった…。
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ナギ:「……?」
意識を取り戻したナギ。
しかしそこは、部屋の中では無く…
黒く淀んだ世界だった。
ナギ:「……((あれ……夢―…?))」
ぼんやりと意識はあるものの、ハッキリと考える事が出来ない…
座り込んだまま、目だけで辺りを見回していた…
そんな彼女の前に、陽炎の様にぼぅ…っと人影が現れた。
ナギ:「ん…?…ミネ……?」
良く顔を見ようとしても、その人影をハッキリと見る事が出来ない…
人影:「いたいた。
やっぱりこの世界で合ってた…」
人影は低い声で喋りながら近づいて来る…
ナギ:「…誰…?…来ないで……」
遠ざかろうと動こうとするが、まるで人形になったかの様に体が動かない。
人影はナギに合わせしゃがみ込むと、スッと彼女手を取り指輪を見詰める。
人影:「………。」
ナギ:「……?」
顔は良く見えないが、微かに微笑んでいる様な気がした…
人影:「…これ、お父さんとお母さんの形見でしょ…?」
ナギ:「…ぇ…」
図星だった。
何故そんな事が分かったのか…
夢だからか…?
人影:「ふふ……ほら、オレと色違いのお揃い。」
そう行って手の平を見せると、確かに黒光りする指輪だけがハッキリと見えた…
人影:「……もう少ししたら君のは貰うからね。」
ナギ:「………?」
人影:「……まあ、君の方からオレを求めて来るだろうけど…?」
意味の分からない事を語り続ける影の言葉を、ただボー然と聞くナギ…
人影:「……あ…分かんないよね…アッハハ…
まあ…脱獄はご苦労様。」