銀魂長編

□出逢い
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桜が舞うこの季節。綺麗に彩られたこの季節は町も活気づく。その為、常にお祭り騒ぎの状態の歌舞伎町は攘夷浪士達を刺激し、それにより襲撃もしょっちゅう起こる。その為俺達、真選組も見回りを欠かせない。時間ごとに班を振り分けて行う事がいつも以上に重要視されるようになってきた。しかし、現実は悲しくそんな中浮かれているのは攘夷浪士だけではなく真選組も同じ。近藤さんは見回りに行くと謂って出掛けたまま、志村姉に会いに行き傷を作ってかえってくるし、代わりに総悟を見回りに行かせれば事件を起こして帰ってくる…。確かに山崎の言う通り休憩なんてとってなかった。声だけでそいつの状態を見抜けるとは、流石監察と言うべきか。(あれで、ミントンをしなきゃいいものだが)



でも、そのおかげで時間が出来た。『あの場所』に行ける。






「相変わらずだ…」


俺が来たのは、大きな桜の木だけがある丘。
一度見回りの途中で見つけた丘で、もう一度来たいと思っていた場所だ。今は開花の季節であるために、この桜も満開を迎えている。上を見上げれば、桜の花びらが綺麗に舞っている。




「(煙草…)」


こんな綺麗な景色を見ながら煙草を吸うことも当分ないだろうと思い一服でもしようかと懐をあさっていた、その時だった。












「……うっ…」




女の声がした。











聞こえたのは桜の木の裏からだった。裏を覗くと腹部から血を流した女が倒れていて、その付近には赤い水溜まりが出来ていた。


「…ッ!?おい!!大丈夫か!?」

「………」

「息は…あるな…」


息はなんとかあるようだが…。


「…これ、は…」


俺は急いで携帯を取り出して、屯所にかける。





『はい、こちら真選組「山崎か!?すぐに真選組医療班を準備させろ!!!」』

『え!?何が…』

「重傷患者だ!!!」

『え…それだったら病院の方が…』

「屯所っつてんだろうが!!急げ!!」

『は、はい…!!』



ブチッ、と乱暴に山崎との電話を切ると女の様子を見た。確かにこの状態ならば、病院に連れてくのが常識だろう。だが俺が気になったのは、




「…扇」





黒の蝶の画かれた扇だった。
普通の女が持っている扇とは違い、柄の部分に仕込み針らしきものが見える。しかも、腰には短刀。




「(普通の女の身なりには見えねぇな…)」

「…ッ…」

「…っ大丈夫か!?今、助けてやるからな!!」



一先ずはこの女の治療が先決、そう思い車にその女を連れ込み、屯所へと向かった。





その時の俺はまだ、この先この女が俺達を大きく変えるだなんて、知るよしもなかった。







To be countenued...

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