「総悟、どういうことだ!!」
「朝になっても、隊士達が報告に来ないからおかしいと思ってあの女の部屋に言ってみたんでさァ!!そしたら……」
俺達がたどり着いたのは、昨日女を寝かせていた部屋。
その襖の前には、二人の隊士が倒れていた。
「おい!!しっかりしろ!!」
「副、長……」
「何があった!?」
「分かりません…ただ、いきなり風、が…っ」
「風……?」
パタリ、と意識を失ったその二人の隊士は『風』という単語を残した。
「しっかりしなせェ!!」
「落ち着け、総悟。気を失っただけだ」
「すまねェ…近藤さん…」
「気を落とすな、仕方ない。この様子だとトシ達が連れて来た女の子ってのは…」
「……おそらく、『天人』だ」
「じゃあ、攘夷志士じゃないのか…?」
「いや、そうとも言えねーだろ。世の中複雑だからな…」
普通の風で人が気絶するとは、到底おもえない。故に俺達はあの女は天人とみた。やはり、昨日の勘は的中していたらしい。俺達は二人の隊士をそれぞれの自室に寝かせた。すると、ざわざわと何があったのかと集まってきた。
「副長!!なにがあったんですか!」
「一番隊の連中がやられたって!?」
「お前らは自分の仕事場につけ」
「しかし、副長!!」
「副長命令だ。後でまた全員に話す。それまで待て」
「っ…はい」
血の気の多い連中ではあるが、そういう奴らによって仲間思いな奴が多い。やっぱり、思ったとおり大事になってしまった。
「トシ、どうする」
「屯所はアンタに任せるぜ近藤さん。あの女は俺と総悟でけりをつける」
「しかし…」
「隊士がやられたんだ。黙ってれねぇし、これで女が攘夷志士の可能性が高くなった」
「トシ」
「なんだ」
「斬るなよ」
「………」
「局長命令だ」
「…ホント、アンタはお人よしだな」
「トシが厳しすぎるだけだ」
一つ大きなため息をつくと、俺と総悟は女を探しにパトカーを走らせた。
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