あんな奴大嫌いだ。
嫌いだ嫌いだ。







またあいつは偉そーに俺の前に現れて何かごちゃごちゃ云って来て。
…鬱陶しい。
俺のことが嫌いなら近寄って来なかったら良い。
なのにあいつは…。
何考えてるのかさっぱり分かんねえ。


「おい」

『私の名前は「おい」じゃない』

「……うぜ」

『あんたに云われたくないわ』

「お前…調子に乗ってんじゃねーぞ」

『煩いな。用が無いなら話し掛けて来ないでよ』


こいつの言動の一つ一つが頭に来る。
殴ってやりたい衝動をなんとか抑えるが怒りが収まる訳では無い。


「…明日から俺に近寄って来るな」

『は??意味分かんない』


アポロはそれだけ云うとシルヴィアから離れていく。
シルヴィアはというと呆けた顔でただ突っ立っているしか出来なかった。


『何よ…馬鹿…』


次の日からあいつは本当に俺の前に現れなくなった。
時々すれ違ったりした事も有ったが俺には見向きもしなかった。
それはそれで何かムカつくと言う矛盾した気持ちがごちゃ混ぜになる。


(俺…何やってんだよ…)


俺はあいつに何を求めてる??
自分でも分からなくなってくる。
この正体不明の気持ちが消えれば楽になれるのに。
胸が締め付けられる。


「なぁアポロ。お前最近何かあったか??」

「ピエール…」

「ずっと考え込んでる風で近寄り難えし。おまけにシルヴィアもそうだからな」

「シルヴィアが…??」

「ああ。いつも騒がしい二人がしんみりしてると俺等も調子狂うっての」

「………」

「何があったかは知らねーけど早く元気になれよ。俺で良かったら話くらい聞くぜ」


ピエールはアポロの頭をぽん、と叩くと「じゃあな」と云って何処かに行ってしまった。


(俺が悩んでる理由はシルヴィア…だろうな。ってことはあいつも俺が原因で…とか有り得ねえよなぁー…)


『アポロ』

「シルヴィア!?」

『話…したいんだけど、良いかしら??』


俺はシルヴィアに連れられてベランダに出た。
外は風が吹き付けていて、何かが起こりそうで嫌だ。


『単刀直入に云うけど』

「は??」

『好き』

「………」


いや、いきなり過ぎだろ。


「意味分かんねーんだけど」

『日本語も分からないの??相当の馬鹿ね』

「そう言う意味じゃねーよ!!ふざけんな。この間までは嫌いだとか何とか云ってたくせに」

『あんたなんか嫌いよ。でも好き』


嫌いだけど好き??
どっちなのかはっきりしやがれ。


『兎に角、好きなの』

「信じられるか」

『…じゃあどうすれば信じる??』

「……俺にキスでもしてみろよ」

『良いよ』

「なっ…」


不意にシルヴィアの顔が近付いてあっという間に課題クリアだ。
唇に残る温かさがこれは現実だと訴え掛けてくる。
まさか本当にするなんて思っても見なかった。


『……どうしよ…』

「何がだよ」

『…キスしたら…もっと好きになった気がする…』


再び近付いてくるシルヴィアに慌てて制止の声を掛ける。


「…やられっぱなしだと男じゃねーだろ」


シルヴィアの手を引いて俺から口付けた。
ついでって訳でも無いが舌も絡めてやった。
徐々に酸素を奪っていくとシルヴィアの息遣いが荒くなってくる。
まだ慣れてない様子で舌を絡めてくるシルヴィア(俺も経験無いけど)が少しだけ。
本当に少しだけ。
可愛い、とか思ったり。
その時点で堕ちてしまっていたのかもしれないけど。
結局俺はシルヴィアを愛してしまう羽目になる。


((本当は一目惚れだったんだよ??))


…絶対に教えてあげないけどね。







好き。







2008.11.2.

ずっとアポシル書きたいなーって思ってたんです。
でも文化祭とかテストとか…色々あって中々更新できましぇん(泣)。
あ、でも閉鎖とかはしないっす。
ちゃんとちびちびでも更新はしますので。
最後まで読んで頂き有難うございました。

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