短・中編
□waste time
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真っ赤な絨毯の敷かれた廊下を歩きながら、三明が呟いた。
「なぁ親父、なんで俺らも接待するんだ? 親父や姉御はともかく、俺は夕騎士団の一員じゃね〜のに」
「何を言うクレス! 君がいるだけでその場に薔薇が咲き乱れ、空気中にマイナスイオンが溢れるじゃないか!」
「そんな特殊能力あるかぁぁぁ!」
呆れる三明に代わって陽南がツッコむが、二人の前を歩く金獅子ことレオナルド・スカイライトはどこ吹く風だ。
「客人の中には、二人と同世代の子達もいるらしいからね、よろしく頼むよ。お礼は弾むから」
「ってアンタ、文無しの指名手配犯でしょ!」
「勿論、出世払いだ!」
自信満々に言い切るレオナルドに、今度は三明がツッコむ。
「……出世どころか失脚してるじゃん」
「なっ、酷いぞ息子よ! パパは今、繊細な心に深ぁい傷を負ってしまった! でも抱き締めてくれたら治るかも!」
「三明、首締めてやりなさい」
「了〜解」
「え、ちょ、ぐるじ……!」
そのまま窒息死する直前で目的の部屋に辿り着いた。
そのため一命をとりとめたレオナルドは、軽く衣服を整えると、ドアをノックした。
「失礼します」
その様は、今までの親馬鹿キャラから一転し、元夕騎士団総団長の威厳を纏っている。
陽南と三明もそれに倣い、礼儀正しく一礼して入室した。
客人は四人。ソファーで寛ぐ赤毛で片腕の男と、優雅に煙草吸う、同じく赤毛の青年は親子だろうか。
向こうのテーブルでは、茶髪で碧眼の少年と黒髪の少女が、ひたすら茶菓子を口に運んでいる。
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