短・中編
□Error Quest
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「引き分けね」
「……だな」
エアリーの判定に、三明は頷いた。
白熱したアームレスリングを繰り広げていた陽南とシャルだが、あまりに強い力同士がぶつかり合ったためか、なんと二人の肘でテーブルが真っ二つに割れてしまったのだ。
「ど、どうしよう……流石に怒られるかな」
陽南がやや慌てた様子で言った。
シャルに至っては二度目のテーブル破壊だが、同じ器物破損でも、壊したのが客人だけでなく接待側も関わっていたとなると、ちょっと問題かもしれない。
「これ、ヤバいのか?」
「確かに……このテーブル、結構高そうよね。シャルには到底弁償できない額なんじゃない?」
「えぇっ!? ひ、ヒナ、一緒に謝りに行こう!」
「……そうね、見つかる前に謝った方がまだマシかも」
ようやく事態を把握したシャルの提案に、陽南は頷く。
だが三明は、一抹の不安が拭いきれなかった。
「あのドS女王が、すんなり許してくれるとい〜けどな……」
結局、オルハも加えた一行は、王の間へと向かった。
彼が父ブライアンをアッパーカットでぶっ飛ばした際にできた天井の大穴は、どう考えても誤魔化せる程度のものではない。
「オルハが天井、姉御とシャルがテーブル──あと、姉御は窓ガラスも割ったっけ」
「マズイ、これは絶対にマズイわ……! なんであの時、アイツを窓の方向へ殴り飛ばしちゃったのよアタシ!」
三明が冷静に破損物を羅列すると、陽南は頭を抱えた。
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