短・中編

□狼vs3匹の子豚
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「?? 何か臭い……あのピエロ餃子食ったんか?」

「ラーメンだけだよ!あれぇ?何で壊れナイノ!?」


野原に悠然と立つ藁の家、

「ナンデ!?」

「はーははは、わぃが只の藁屋を作ると思ったんかぃ?泥粘土を混ぜて丹念に捏ねた藁、特殊な縛りで束ねた縄結びに内側からは特殊な油を敷いたんや!
そんな簡単には壊れへん!」


古人の知恵を侮るな!


キッペーの高笑いは続いた。


「てかお前の息臭いねん、納豆か?納豆食うたんか?ラーメンだけの臭いやないもんなーーっと、そんな汚ならしいツラでわぃを見ないでくれへん?キツいわー、ほんま具合悪くなるから、なっ?」

「うわぁぁぁぁん!」




「……No.1、撃沈。」

「使えないね、」


遠くから眺めていたユキトと一馬は深い溜め息を付いた。


「まあ、あの家はあとで放火しとくけど……次は木の家だね」

「木の家は志願者がいたので、その者が行きます。」

野原を掛け逃げるピエロのマイルに見向きもせず、ユキトと一馬は次の家に向き合った。





〜☆〜




「赤頭巾ちゃーん!遊びましょー!」


外からの激しいほどのアプローチが続く。


「アタシは今は豚だー!」

「僕のマイ・スイートハニー!君の豚足を食べたいと思う僕は罪なのかな?」

「女に豚足って言うんじゃねー!大根足って言え!」
「??」

「大根足とは昔の誉め言葉だ。白く、美しい足だってトシさんが教えてくれた!」

「でも、今ハニーは豚じゃ──」

「三枚に下ろすぞ?」


扉がある為、キッペーのような事にはなっていないようだが、熾烈な攻防戦がこちらでは始まっていた。


扉をガッシリと掴み、外からの力から逃れようと必死に踏ん張る黒髪のルウ。


「ハニ〜〜!」


外ではルウ目掛けてアタックを繰り出す狼青年……まるで童話から飛び出た王子様の様な美しい容姿、立ち振舞いは狼よりも白鳥等を思い浮かべるだろう……だ・がっ!


「ハニーが作った僕等のマイホーム、僕が塗装して真っ白な家にしてあげるね!庭付き一戸建て…………うふふ〜、夢のようだよ……」

「気持ち悪い〜〜」

「あっ、僕の名前はプリンス・ナツキ!世界の女性達の恋人で、ルウは僕の唯一のハニーさっ!」

「黙れ変態ストーカー!!」


明らかな嫌悪感が野原に漂う……だが、兄弟豚は助けに来てくれない。


このままでは……



「ハニ〜〜、今夜は初夜だね!寝・か・せ・な・い・ぞ!」

「だぁぁぁっ!」


ごしゃっ、バキッ!が響き激しい音で崩れ落ちる木の家……


そこから間一髪で逃げ出したルウは一生懸命建てた家を見納めすることも無く逃げ出す。


「ぅわわわわわ〜〜っ!」

「ハニーー!」



ルウが駆け込んだのは藁の家

そこからキッペーを急いで呼び出すと「頼む!」っと清々しいまでの逃避行を続けた。


「な、なんや?」

「ハニー!?僕のハニーはどこ?」

「蜂蜜か?」

「ハニーが蜂蜜!?ハニーは蜂だったの?……………ダメだよ!ハニーは僕の蝶でいなきゃいけないんだ!」

「あかん、話噛み合わん」

「ハニ〜〜〜〜〜〜〜ッ!」


発狂しながら「ハニー」「ハニー」っと騒ぐ変態にキッペーは深い溜め息を付くと、藁の家から抜け出した。


暫く歩くと、木陰に隠れるルウを見つけ……


「町行くか?」

「…………あぁ、」


二人は野原を後にするのだった……
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