フリリク

□君と
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ルカスパ
―――――――



息が、上がる。


敵1体1体はたいしたことないが、なにより数が多い。

周りの仲間も苦戦しているようだ。


小さく舌打ちをして目の前の敵を薙ぎ倒す。





誰も傷つけやしない。


守るんだ。


俺が皆を、ルカを…








「皆、大丈夫だった?」

「アンジュ姉ぇちゃ〜ん!うちもう疲れた〜…」


エルマーナはアンジュの腰に巻き付いて怠そうにしている。

その頭を撫でるアンジュは本当の姉妹のようだった。


少し羨ましいのは秘密だ。


「そうね…。もう少し行ったところに街がある筈だから、そこまで我慢してちょうだい?」


可哀相な感じのうめき声をあげながらもエルマーナはアンジュの腰から離れた。


「おら、もうちょっとだろ。それまでの辛抱だって」


アンジュ達が歩き始めたのにエルマーナはそこに留まったままだ。

こういう時、どうしたらいいのかわからない。


とりあえずガシガシと頭を撫でておいた。





「アンジュー…、あと少しってどのくらいよー…?」

「おかしいな、そろそろ着く頃……あ!ほら、あれよ」


アンジュの指差す先を見てみれば、遠くに街の形が見えた。


「うげぇ!まだあんなにあるの〜…」


イリアは珍しく本当に凹んでいるようだ。

そんなイリアにルカは必死で何かを言っている。



少し、もやもやする。



考えていると、ピリっとした殺気を感じた。

周りはまだ気付いていない。

ルカはイリアに構いっきりで、リカルドにおんぶを迫っているエルマーナを見てアンジュは微笑ましそうにしている。


(気の…せいか…?)


周りは誰も気付かない。

自分だけが何かを感じている。

そんな事、今までになかった。


(じゃあ、この殺気は何だ?)


まるで、誰を狙うか見定めているような、そんな視線。




その時、ルカの近くの草むらが揺れた。





「−−ルカッ!!」






必死で手を延ばして、





ルカを後ろへ突き飛ばした。









背中と腹に、突き刺すような痛み。




いや、実際突き刺さってるか。






でも、俺はどうなったっていい。






俺が、守るんだ。


ルカ…




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