フリリク
□嘘。本当。
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デクアリ+リヒター
―――――――
コツコツと靴の裏が床を叩く。
静かな空間は好きだ。
まるで自分1人だけが存在しているかのように思えてくる。
「ア・リ・ス・ちゃ〜ん!!」
足が止まる。
はぁ、とため息をつき廊下の角から声の聞こえた方を覗く。
隠れている訳ではない。断じて隠れているわけではないぞ。
「うっざぁ〜、ちょっとデクス近づかないでくれない〜?」
ちらりと覗けば、案の定そこにはデクスとアリスが居た。
どうせ今日もデクスが粘ってアリスが折れるのだろう。
「…ぁ、ごめんね。アリスちゃん。…うざかったね」
…どうやら、今日は違うようだ。
デクスがアリスにのばそうとしていた手を戻し、緩く自身の手を握った。
ここからはデクスが背を向けていて、表情は見えない。
「…ちょっと」
「ごめん、アリスちゃん。俺もう行くね」
デクスがアリスの声を遮った。
言葉を言い終わるやいなやデクスは早足でアリスから離れて行く。
…本当に、珍しい事があるものだ。
残されたアリスは少しの間呆然のしていたが、すぐに顔を怒りで歪めた。
「っ何なのよ!もう!」
ぶらぶらとムチを揺らし始める。
俺はそれはアリスが苛立っている証拠だと知っている。
早く退散するべきだろう。
素早く振り返ろうとした瞬間。
「リヒターじゃないの」
…遅かった。
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