□腐った心
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「…以上だ」

「…了解した。では次の定時連絡も頼む」


次の瞬間には茶色の髪の天使は消えていた。

ざりざりと音をたててさっき来た道を戻る。


月が、酷く遠く感じた。


(…あそこから、アイツらは来た)


月…シルヴァラント。

衰退世界。


酷く腹立たしいアイツら。

何が仲間だ。

何が守るだ。


「…馬鹿馬鹿しい…」




そんな、絵空事。










宿に戻ろうと歩いていると、宿の前に赤が立っていた。

さっきまで会っていた、天使と同じ髪色。


「…はぁーあ。めんどくさ…」


くしゃりと髪を掻き交ぜていると、赤はこっちに気がついたのか近付いてくる。


「ゼロス。こんな時間に何やってんだよ」


思ったより、落ち着いた声だった。


「…どうした?ゼロス」

「い、や。もっと怒ると思ってたから」


そう言うと彼は目を丸くした後、少し笑った。


「何で俺が怒るんだよ」

「…だって俺ら仕切ってんのロイドだし。風紀は乱すなー、みたいな」


あのなぁ、と呆れたようにため息をつかれる。


「誰だって1人になりたい時くらいあるだろ。いつも一緒に行動しろ、なんて言わないよ」

「…そうか」


意外に、その言葉はすんなりと頭に入ってきて、理解する前に返事をしていた。


「…あぁ、でも」


宿の中に入ろうとしていた足を止める。

振り返れば、真っ直ぐな彼の瞳に射ぬかれた。


「…ゼロスを1人にするのは、ちょっと嫌だな」

「…なんで?」


「お前、1人になると寂しそうだから」



不覚にも、笑顔の赤に、心臓が高鳴った。










腐った心









いっそ、腐敗して、溶けて、消えてしまえ。



これから裏切る奴に、高鳴る心臓など。




「…馬っ鹿みてぇ…」




俺も、お前も。











意味不明…(´・ω・`)

お題配布:白い華


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