□あなたの癖をみるクセ
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ふと、窓の外に目をやる。

宿の庭みたいな所で、ロイドが剣の鍛練をしていた。

いや、鍛練というよりもただ剣を振り回している、が近いな。

ここまで風を切る音が聞こえる。


こういう時のロイドは、とても真剣な顔をしてる。

いつもは馬鹿みたいな顔なのに、剣を持つと、こんなに変わる。

なんだか、不思議な気持ちだ。


「…あ…?」


今、ロイドと目が合った気がしたけど気のせいだったか?


…ちょうどいいか。



「おーい、ロイドー!」


窓から少し身を乗り出して、手を振るけどロイドは剣を振り続ける

あ、無視かよ。


「…ロイドくーん。剣を振る時右足に体重かけ過ぎだぜぇ?」


そう言うとロイドはぴたりと動きを止めたかと思えば、また剣を振った。

あれ、さっきと違う。




「……ゼロスってば!」

「え!?あ、あぁ。何かなハニー?」


ぼんやりとロイドを眺めていたのか、名前を呼ぶ声にはっと我に帰る。

ロイドは少し不機嫌そうだ。


「今、ゼロスが言った事が本当なのか確かめたんだよ」

「うわぁ、俺さまってば信用な〜い」

「…あぁ、実際してなかったし」

「うわ、酷い!」


「ロイドくんひーどーいー」と言って泣きまねをすればロイドに「聞けって」と呆れたように言われた。


「俺、ゼロスって適当な奴だって思ってた」

「んー…まぁ…」


否定できない。


「けど、今やって、それは間違いだと思ったぜ」

「…そ、そぉ…?」


なんだか話がおかしな方向に行ってないか。

たしかロイドくんの癖を指摘しただけな筈…。


そんな事を頭の中でぐるぐる考えていたら、にこりとロイドが笑った。



「知ってるか?ゼロスって恥ずかしい時首を触るんだぜ?」

「!」



恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい!

なんだかよくわからないけど、すごく恥ずかしい!

顔に熱が集まるのが自分でもわかった。


「いつも自分だけが見てると思うなよ?」


ロイドの顔が爽やかな笑顔から、にやりとした嫌な笑みに変わる。


「そ、んなに俺ロイドの事見てる…?」

「結構な。自覚ないのか?気がつくと見てるぜ」

「…まじかよ」


ロイドの顔が見られない。

赤い顔を隠すように顔を伏せれば、ロイドのふっと笑う声が聞こえた。


「なんかもう、癖だな」










あなたの癖をみるクセ










あぁ、自覚するだけでこんなにも恥ずかしい!









お題配布:琴名さま


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